2021年4月頃から日本の建築資材の価格が急激に上昇した主な要因について、以下に詳しく説明します。
新型コロナウイルスの影響
パンデミックは世界中の製造業や物流に大きな混乱を引き起こしました。この影響は以下のように広範囲に及びました。
- 工場の閉鎖と生産の遅延:
- 多くの国でロックダウンや感染防止措置が実施され、多くの工場が一時的に閉鎖されました。これにより、生産が中断され、建築資材の供給が滞りました。
- 生産が再開された後も、社会的距離の確保や衛生管理の強化により、作業効率が低下し、生産能力が減少しました。
- 物流の混乱:
- 世界中で物流が混乱し、物資の輸送が大幅に遅延しました。特に国際物流においては、港湾や空港での混雑が発生し、コンテナ不足が深刻化しました。
- 一部の国では、物流業者の労働力不足や輸送ルートの制限により、さらに供給が遅れました。
需要の急増
パンデミック後の経済回復に伴い、特にアメリカや中国などで建築需要が急増しました。
- 住宅需要の増加:
- 在宅勤務の増加に伴い、より広い住宅や快適な居住環境を求める消費者が増え、住宅建設の需要が高まりました。
- 政府による景気刺激策や低金利政策も住宅需要を後押ししました。
- インフラ投資の拡大:
- 各国政府は経済回復を促進するために大規模なインフラ投資を行いました。特にアメリカや中国では、インフラ整備や都市開発プロジェクトが急増しました。
原材料価格の上昇
建築資材の価格上昇の背景には、鉄鋼、木材、セメントなどの原材料価格の急騰があります。
- 鉄鋼の価格上昇:
- 鉄鋼の価格は、中国の旺盛な需要や鉄鉱石の供給制限により急騰しました。中国は世界最大の鉄鋼生産国かつ消費国であり、その需要増加が世界市場に大きな影響を与えました。
- 鉄鉱石の供給は、主要生産国であるオーストラリアやブラジルにおける自然災害やパンデミックの影響で制限されました。
- 木材の価格上昇:
- 北米での住宅需要の急増により、木材価格が急騰しました。特にアメリカでの住宅建設ブームが価格上昇の主要因となりました。
- 加えて、森林火災や害虫被害により木材供給が減少しました。
物流コストの上昇
物流コストの上昇も建築資材の価格に大きな影響を与えました。
- 海運コストの上昇:
- パンデミックにより海運業界は大きな混乱に見舞われました。コンテナ不足や港湾での混雑により、海運コストが急騰しました。
- 一部の輸送ルートでは、運賃が数倍に跳ね上がる事例も見られました。
- コンテナ不足:
- 世界的な物流の乱れにより、輸送用コンテナが不足しました。特にアジアから北米へのルートでこの影響が顕著でした。
労働力不足
パンデミックは労働市場にも影響を与え、建築資材の供給に影響を及ぼしました。
- 労働者の確保困難:
- パンデミックにより多くの労働者が感染リスクを避けるために職場を離れたり、健康上の理由で労働力市場から退出しました。
- 建設現場や製造業では、熟練労働者の確保が特に困難となり、労働力不足が生産や供給チェーンに影響を与えました。
- 感染防止措置による制約:
- 労働者の健康と安全を確保するために導入された感染防止措置が、作業効率を低下させました。
これらの要因が重なり合い、2021年4月頃から日本の建築資材の価格が急激に上昇しました。この状況は今後も続く可能性があり、建築業界全体に大きな影響を与え続けると考えられます。
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